第15回年次研究大会シンポジウム・ラウンドテーブルのご案内

日本文化政策学会は、3月20日(日)・21日(月・祝)に全面オンライン形式で第15回年次研究大会を開催いたします。

本大会では、分科会での個別の研究発表、および学会員による企画フォーラムの他に、二つのシンポジウムとラウンドテーブルを開催いたします。概要は下記の通りですので、ご参照ください。

本大会は、peatix(https://peatix.com/)のサービスを利用した事前の参加申し込み手続きが必須となります。参加申し込み手続きについては近日ご案内いたします。

なお、非学会員の方が研究発表に参加される場合は有料(千円)となりますが、非学会員の方でもシンポジウム、ラウンドテーブル、企画フォーラムのみの参加をご希望の場合は無料となります。

ご不明の点がございましたら、大会事務局(jacpr2021tokyo@gmail.com)までご連絡ください。多くのみなさまのご参加をお待ちしております。

第15回年次研究大会プログラム委員会
委員長 友岡邦之

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●シンポジウム1 厄災と祝祭と文化政策:「復興」と「レガシー」の現実

【日 時】 2022年3月20日(日)15時~16時30分
【出演者】 芹沢高志(アートディレクター、都市・地域計画家)
大友良英(音楽家、プロデューサー)
吉本光宏(ニッセイ基礎研究所 研究理事・芸術文化プロジェクト室長)
野田邦弘(司会,横浜市立大学大学院都市社会文化研究科客員教授)

【企画趣旨】コロナ禍、そしてその最中におけるオリンピック・パラリンピックといった経験等を踏まえて、文化活動や芸術活動を持続可能なものにしていくために必要な仕組みとは何か、あるいは現行制度のどこに課題があるのかを考える場としたい。コロナ禍への対応として実施されたさまざまな芸術支援事業の有効性、東日本大震災からの「復興」や五輪開催のキーワードとされた「レガシー」の現実、自由な表現の場の形成・維持をめぐる軋轢など、日本社会の文化・芸術の持続可能性をめぐる課題は山積している。危機を乗り越えた先にあるとされる希望を信じる前に、トリエンナーレなど大型芸術祭へ関与された経験などもふまえ、これらの事業制作過程で求められる過大な負担を伴う各関係機関との調整など足元の課題を具体的に改善するための討論を行いたい。
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●シンポジウム2 文化の生存権:文化支援事業の有効性とは

【日 時】 2022年3月20日(日)17時~18時30分
【出演者】 蓑輪勇二(公益財団法人せたがや文化財団音楽事業部・部長)
山本麻友美(京都市文化芸術総合相談窓口(KACCO)・統括ディレクター,京都芸術センターアーツ・アドバイザー)
三好勝則(公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京・機構長)
太下義之(同志社大学経済学部・教授)
熊田知晃(司会,明治大学政治経済学部・助手)

【企画趣旨】COVID-19による補償,支援は様々行われている。文化政策の分野では,東京都,京都市,世田谷区等の様々な公的機関によるアーティスト,文化団体,文化施設等を対象とした文化支援事業の制度を設計した。しかし,制度が執行される際には様々な課題が生じた。それは,プロ・アマの定義,申請内容の審査等のこれまでに課題の解決を先送りにしてきたものが関わる。さらには,COVID-19以前に設計されていた事業の実施に向けた変更も問われている。そこで,本企画では,文化支援事業を巡り,制度設計(政策立案過程)と執行(政策実施過程)の間で発生した課題や成果を議論していく。文化支援事業を経済,自己実現,社会的身分等の面から捉えていく。実際に文化支援事業の執行を担う三者に,問題提起として文化支援事業の実態を説明してもらい,それを学術的に整理していく。制度設計と執行間の課題や成果を追求することで,これまでの文化支援事業の有効性を捉えると共に,今後の文化支援事業に向けた討論を行う。この討論は,これまでの文化支援事業における理念が,アーティスト,文化団体,文化施設等の生存を保持しようとするものへと転換が行われた点について,文化政策研究として問い直すものである。
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●ラウンドテーブル 「表現の自由」ふたたび:表現の場の安全保障

【日 時】 2022年3月21日(月・祝)15時~16時30分
【出演者】 伊藤昌亮(成蹊大学)
小泉明郎(アーティスト)
小島立(九州大学)
小泉元宏(司会,立教大学)

【企画趣旨】2000年代前後から、観光立国や文化芸術立国の実現などを図ることを目指すために、あるいは少子高齢化や人口減少が進む都市・地域活性化への効用を期待して、各所で国際芸術祭やアートプロジェクトなどの文化事業が盛んに開かれるようになっている。また同時に、市民参加型、あるいは融合/集合型のカルチャーを生み出すことを可能とするメディアやプラットフォーム、アプリケーション、ソフトウェアの拡張や普及が、新たな社会関係形成や、文化の創作、受容を推し進めてきた。しかし他方で、国や都市・地域の産業振興、あるいはアイデンティティ強化などといった社会的目的のために文化が過度に利己主義的に利用されたり、あるいは、著作権をはじめとする知的財産権の管理強化が推し進められたりといった、民主的で多様な芸術・文化の実践を阻害しうる動きも存在する。さらには、COVID-19パンデミックによってあぶり出された文化関係者の苦境や、市民の間に顕著の広がる社会的格差の拡大など、芸術・文化をめぐる社会政治やマネジメントのあり方には、さまざまな問題・論点が見出され、喫緊の課題ともなっている。このような現状において、芸術・文化をめぐる「自由」な場や制度、エコノミー、そしてライフスタイルを確保していくためには、どのような視座が求められるのだろうか。このラウンドテーブルでは、社会・政治的な相互関係の領域を確保していくためにも重要なはずの、現代社会における表現の場を形成・維持していくために、いかなる取り組みや考え方が必要か、その課題や困難はどこにあるのかを議論していきたい。社会学、情報学、法学などによる最新の知見や実例と、芸術実践の立場によるアクチュアルな問題意識から話題を提起するとともに、参加者を交えながら意見交換するための場を開いていく。
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